結婚式の直前にインフルエンザ

ここぞという時に失敗やトラブルを引き起こすタイプの人というのが居る。私の夫がそれだ。夫は既設建築物設備工事業を営む工務店の二代目で、会社を大きく、より堅牢なものにしようと日々努力を重ねている。彼の代になってもう6年目だが、最初の数年はやる気や情熱だけが先走って、古参の職人さんと衝突することもしばしばあった。夫にしてみれば、経営者として、職人さんたちになめられてはいけない、従業員を正しくまとめ、会社を盛り立てて行こうと頑張っていただけなのだが、職人さんたちにしてみれば先代の社長との絆の方がずっと強い。ここに来て急に親分面をする二代目社長の若者に、反感を抱いてもしかたのないことだった。

それでもなんとか、経営側と従業員側が少しずつ歩み寄り、やっとうまくまわってきたと思われる頃、急な二代目襲名でお預けになっていた私との結婚式も、挙げられることとなった。仕事上、夫が大変な毎日を過ごしていたことから、私は結婚式なんて挙げられなくても我慢しようと思っていたので、挙式の話が再度持ち上がってきたときは、本当に驚き感動した。とんとん拍子で話がまとまり、夫もその日のために仕事は早め早めに片づけて、周囲の人の協力も得られ、無事明日は挙式という日を迎えた。

ところが夫は朝から元気がない。悪寒がする、関節が痛いとぼやいている。もう4月だしまさかとは思ったが、念のため検温させたところ9度近い。慌てて近所のクリニックを受診させ、インフルエンザにかかっていることがわかった。結婚式の直前にインフルエンザ。今まであれ程会社のために頑張ってきたのに、自分のための時間はあっけなくウィルスにやられてしまったのだ。